介護予防とは、2006年4月に改正された介護保険法に追加された取り組みのことです。その目的は、65歳以上の高齢者が可能な限り介護を必要とせず、自立した生活を長く送れるようにすること。具体的には、高齢者が介護を必要とする状態になるのを防いだり、介護が必要となる時期をできるだけ遅らせたりすることを目指しています。また、万が一、介護が必要な状態になった場合でも、状態の悪化を防いだり、改善を図ったりするのも介護予防の目的と位置付けられています。

介護予防は、日本で進行している高齢化に対応するため、実施されている取り組みです。高齢化は、日本の社会保障制度を揺るがす問題として知られています。高齢化が進行すれば、当然、介護を要する高齢者は増加するでしょう。介護を必要とする人が増えれば、それだけ社会保障費の一つである介護費も増えるため、介護保険制度の財政を圧迫します。

また、介護業界は慢性的な人手不足に悩まされています。高齢化が進行する日本では、高齢者を支える現役世代が少なくなるため、介護業界の人手不足もより悪化するでしょう。この状態を打開するため、国は介護職員処遇改善加算を設け、担い手不足の解消を図っています。それと同時に、介護予防で介護が不可欠な高齢者を減らしていくことで、介護職員の数と要介護状態にある高齢者の数とのバランスを取ろうとしています。このように介護予防は、高齢化が進む日本の介護制度を安定的に継続させるために必要な取り組みなのです。